ITライフハック
GIGABYTEは1986年、PCメーカーとして台湾の台北に誕生した。当時は、マザーボードとグラフィックス・カードを主力商品として扱っていたが、今日ではマザーボードをはじめ、グラフィックス・カード、モバイル端末、電源ユニット、PCケースなど、パソコンに関連した様々な製品を製造・出荷している。現在、台湾と中国に工場を構え、全世界に供給するマザーボードを製造している。
呂社長によると、「CPUとメモリー、ハードディスクを除けば、GIGABYTEの製品だけでパソコンを作ることができます。」と、同社がパソコン全般の技術と製品に携わっていることを明かしてくれた。
GIGABYTEというと、コンシューマー向けの製品を扱っているPCメーカーだと思っている人が多いかもしれないが、実はサーバーやコミュニケーション機器などの法人向け製品も数多く扱っている。
■PC業界に革命を起こしたGIGABYTE
GIGABYTEは、常に信頼性の高い部品を提供しているメーカーとしてPC業界でも定評があるが、それは今に始まったわけではない。いつから、そのような体制になったのだろうか。
呂社長によると、2006年より以前、マザーボードのメーカーとしては、GIGABYTEとASUS、msi、ECSがすでに存在し、この4社だけで世界市場のおよそ70%を占めていたことから、「4大メーカー」と言われた。
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呂社長は、「どのようにコストダウンすれば、もっと安く販売することができるのかを、すべての企業が考えていました。
当時は、安価な部品でマザーボードを作っており、出荷時の利益は上がったが、しばらく経つと部品の寿命でマザーボードの故障が相次ぎました。GIGABYTEをはじめ各社は自社製品の修理に追われることになり、結果としてコストが莫大なものとなっていったのです。」と、当時の状況を振り返った。
「あの当時は、すべて赤字になりました。あるとき、GIGABYTEのマネージメントチームから、マザーボード業界がなくなる可能性があると報告を受けたのです。そして、値段は高いが品質のよい部品を使って、GIGABYTEから業界の標準を変えていこうという結論に至りました。」と、呂社長は当時を振り返る。
今でこそ、信頼性の高い製品はプロダクトの基本だが、価格競争に陥っていた市場の中で、高価でも高品質の製品を作ることは、当 時としては画期的なことだった。同社は、マザーボード業界と市場で、パソコンビジネスの革命を起こしたと言っても過言ではない。
「GIGABYTE=信頼性の高いブランド」というイメージは、ここから始まったと言える。
「コンデンサ、チョークおよびモスフェットはマザーボードのPWMを形成しており、システムの安定動作の鍵となる重要な部分です。2000年、2006年、2011年のマザーボードを比較してみましょう。」と、ある資料を見せてくれた呂社長。「2000年と2006年のマザーボードに搭載されたパーツやPCB基板はほとんど変わりませんが、2011年と比較するとかなりの変化が見られます。搭載されたパーツは高品質・高パフォーマンスのパーツに完全に置きかえられています。ここに、ギガバイトの高品質製品へのこだわりがあるの です。」
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■独自技術を盛り込んだPCメーカー
GIGABYTEマザーボードは、部品の品質だけでない。もうひとつの魅力は、独自技術による先進性だ。特に、次の3つについて、GIGABYTEは注力しているという。
1.安定したシステムのために信頼性の高いデザイン
呂社長は、「他社に比べて、システム温度が10数度も低く抑えられています。そのために耐久年数が5万時間という高価な部品も使っています。」と、冷却性と耐久性に対して妥協ない姿勢で取り組んでいるという。
多くのマザーボード・メーカーでは、1oz(オンス)の銅板をマザーボードに使用しているが、GIGABYTEは2ozの銅板を採用している。その結果、放熱効果が高く、基板上のインピーダンスを低下させる効果も大きいのだ。
ほかにも、USBポートひとつひとつにヒューズを付けることで、ひとつのUSBポートが電気的なトラブルに見舞われても、ほかのUSBポートが使えなくなるといった2次トラブルを回避している。
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Ultra Durable 4 Classicマザーボードは、『パソコンのトラブル回避はマザーボードを選ぶ時点から始まっている!「Ultra Durable 4 Classic」がH61向けに登場』で紹介したように、夏は高温多湿、冬は乾燥による静電気からマザーボードを守るためのものだ。
マザーボードのトラブルで一番多いBIOSのクラッシュに対しても、DualBIOSをいち早く導入したメーカーがGIGABYTEだ。DualBIOSでは、万が一、BIOSがクラッシュした場合でも、バックアップのBIOSからメインのBIOSを復旧させることができる。
2.モバイルと連携する機能
GIGABYTEマザーボードは、モバイルと連携する機能を備えている。代表的な機能としては、Cloud OCとAutoGreenの2つがあげられる。
Cloud OCは、iPhoneやiPadなどのモバイル端末からオーバークロックの実行と管理ができる機能だ。モバイル端末からCPU温度、冷却ファン速度、CPU VCoreおよびシステム温度等の値について、CPU、メモリー、VGA、PCI-E周波数および電圧を含む、フルレンジのチューニングができるうえに、システム状態をリアルタイムで監視できる。
AutoGreen機能は、Bluetooth内蔵の携帯電話を使ったセキュリティだ。同機能をあらかじめ有効にしておけば、PCから離れただけで、自動的にPCをスリープ状態にすることができる。
ON/OFF Charge機能は、iPadやiPhone、iPodを高速に充電できるのに加え、それらのモバイル端末を充電しているときにPCの電源を切っても、充電を続けるというものだ。これも他社にない便利な機能と言えるだろう。
3.ユーザービリティに優れた機能
ユーザービリティに優れている点も、GIGABYTEマザーボードの特長だ。CPUへの電力制御を行い、電力消費量や節電した電力量を表示できる「Dynamic Energy Saver」、OSの再インストールをすることなくIDEモードなどをRAIDモードへ切り替えられる「EZ Smart Response」、Windows上から指先ひとつでBIOSを変更できる「TouchBIOS」、3TBを超えるHDDに対応する「3TB+ UNLOCK」、手間の掛かるRAIDの設定を自動で行う「Turbo XHD」、スマートにPCを管理できる「Smart 6」など、盛りだくさんだ。
■他社より優れたBulldozer対応マザーボード
自作PCユーザーの中には、Intelだけでなく、AMDのネイティブ8コア対応の高性能CPU AMD FXシリーズ(コードネーム:Bulldozer)をサポートする「ソケットAM3+」対応マザーボードについての最新情報を知りたい人もいるだろう。
呂社長は、「GIGABYTE 333 onboard acceleration、Dual BIOSなど、最新技術を取り入れています。BIOSに問題が出るかもしれないと言われていますが、現在、販売店で販売されている製品は対応BIOSを搭載済ですので、GIGABYTEの製品では問題が出ることはありません。」と、教えてくれた。
現在、店頭に出回っているGIGBYTEのマザーボードであれば、他社では必要となるであろうBIOSのアップデートをせずに、これから発売予定の8コアCPUにも対応できるそうだ。
最後に今後の展開について、呂社長にうかがってみた。
呂社長は、「GIGABYTEマザーボードはPCを作れるだけでなく、便利な機能がたくさんあります。最近では、日本でもライトユーザーさんが増えていますが、そうしたユーザーでもGIGABYTEマザーボードを使えば手軽に便利な機能を使えるわけです。」
GIGABYTEマザーボードは、高い品質と、使い勝手のよいユーザービリティを備えた製品であることを、あらためて再認識した取材だった。
■「GA-Z68XP-UD4/G3」製品情報
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